三福祉士とは?介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の仕事とキャリア
はじめに
福祉の仕事について調べていると、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士という3つの国家資格を目にすることがあります。
いずれも人の暮らしを支える福祉の専門職ですが、それぞれ専門性や役割、活躍する分野には違いがあります。
私自身、福祉の現場で働き、資格について学んできたなかで感じるのは、資格を取得することには、就職やキャリアの選択肢を広げること以外にも意味があるということです。
それは、自分とは違う「支援の視点」を学べること。
この記事では、いわゆる「三福祉士」について、それぞれの仕事や専門性、活躍する分野を紹介しながら、3つの資格から見えてくる福祉の広さについて考えていきます。
「三福祉士」とは?
「三福祉士」とは、一般に次の3つの国家資格をまとめて表すときに使われる呼び方です。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
いずれも、人の暮らしや生活上の困りごとを支える福祉の専門職です。
共通する部分がある一方で、それぞれが培う専門性や、支援するときに大切にする視点には違いがあります。
介護福祉士は、介護を必要とする人の暮らしに寄り添い、日々の生活を支える専門職。
社会福祉士は、生活上のさまざまな課題に向き合い、本人や家族と一緒に必要な支援や制度、社会資源を考えていく専門職。
精神保健福祉士は、精神保健福祉に関する専門性を生かし、その人の生活や社会参加を支える専門職です。
ただ、実際の福祉現場では、それぞれの役割をきれいに分けられるわけではありません。
一人の生活には、介護、住まい、仕事、家族、経済面、心身の状態など、さまざまなことが関係しています。
だからこそ、それぞれの専門職が異なる視点を持ち寄り、連携しながら一人の暮らしを支えていくことが大切です。
介護福祉士|日々の暮らしを支える専門職
介護福祉士は、介護を必要とする人の生活を支える国家資格です。
高齢者福祉だけでなく、障害福祉など、さまざまな現場で活躍しています。
主な仕事
勤務する場所や支援する人によって仕事内容は異なりますが、たとえば次のような支援があります。
- 食事・入浴・排せつ・移動などの介護
- 本人の状態や希望に合わせた生活支援
- 本人や家族とのコミュニケーション
- 他の職員や専門職との情報共有・連携
介護というと、食事や入浴などの「身の回りのお世話」をイメージする人もいるかもしれません。
しかし、大切なのはそれだけではありません。
その人がこれまでどのように暮らしてきたのか。
何を大切にしているのか。
これからどのように暮らしていきたいのか。
そうしたことを考えながら、その人らしい生活を支えていくことも介護福祉士の大切な役割です。
活躍する場所とキャリア
介護福祉士は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、デイサービス、訪問介護、障害福祉サービス事業所など、さまざまな場所で働いています。
経験を積みながら現場のリーダーや管理職を目指すほか、必要な要件を満たして介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指すなど、経験や関心に応じてキャリアを広げていくこともできます。
社会福祉士|生活上の課題を一緒に考える専門職
社会福祉士は、生活上のさまざまな困りごとを抱える人の相談に応じ、必要な制度やサービス、関係機関などとつながりながら生活を支える国家資格です。
主な仕事
社会福祉士の仕事には、たとえば次のようなものがあります。
- 本人や家族からの相談への対応
- 福祉制度やサービスに関する情報提供
- 必要な支援につなげるための調整
- 医療・福祉・行政などの関係機関との連携
社会福祉士が関わる領域は、高齢、障害、児童、医療、生活困窮など幅広くあります。
たとえば医療機関では、退院後の生活に不安を抱える人の相談に応じ、利用できる制度や地域の支援機関などについて一緒に考えることがあります。
制度を紹介するだけではなく、本人がどのような生活を望んでいるのかを考え、その実現に向けて一緒に方法を探していくことも重要な役割です。
活躍する場所とキャリア
社会福祉士は、福祉施設、医療機関、社会福祉協議会、地域包括支援センター、行政機関など、幅広い分野で活躍しています。
同じ資格を持っていても、働く場所によって仕事内容は大きく異なります。
さまざまな福祉分野を経験したり、特定の領域で専門性を深めたりと、自分の関心に合わせてキャリアを築いていける資格でもあります。
精神保健福祉士|精神保健福祉の視点から暮らしを支える専門職
精神保健福祉士は、精神保健福祉に関する専門的な知識や技術を生かし、精神的な不調や生活上の困難を抱えている人などを支援する国家資格です。
主な仕事
働く場所によって異なりますが、たとえば次のような支援があります。
- 本人や家族からの相談への対応
- 日常生活や社会生活に関する支援
- 福祉サービスなどの利用に向けた調整
- 就労や地域生活に関する支援
- 医療・福祉・行政などの関係機関との連携
精神保健福祉士というと、「心のケアをする仕事」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
もちろん心の状態を理解する視点は大切ですが、それだけではありません。
住まい、仕事、家族関係、経済面、地域とのつながりなど、その人を取り巻く生活全体を見ながら支援を考えていくことも重要です。
活躍する場所とキャリア
精神保健福祉士は、精神科病院やクリニックのほか、障害福祉サービス事業所、相談支援機関、行政機関など、さまざまな場所で活躍しています。
精神保健福祉の専門性を生かしながら、地域生活や社会参加、就労などを支える仕事に携わることができます。
三福祉士の違いを整理すると
3つの資格の特徴を大まかに整理すると、次のようになります。
| 資格 | 主な専門性 | 活躍する主な領域 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 介護・生活支援 | 高齢者福祉、障害福祉など |
| 社会福祉士 | 相談援助・制度活用・関係機関との連携 | 高齢、障害、児童、医療、行政など |
| 精神保健福祉士 | 精神保健福祉領域における相談援助 | 精神科医療、障害福祉、地域支援など |
ただし、この表だけでそれぞれの仕事を完全に分けられるわけではありません。
福祉の現場では、一人の利用者に複数の専門職が関わることもあります。
介護の視点だけでは気づけなかったことに、相談援助の視点から気づくこともあります。
反対に、制度だけを見ていては分からない日々の暮らしが、直接支援を通して見えてくることもあります。
それぞれの専門性に優劣があるのではなく、違う視点があるからこそ、支援の幅が広がっていく。
これも三福祉士について学ぶ面白さのひとつだと思います。
どの資格を目指せばいい?
三福祉士について知ると、「結局、どの資格を取ればいいのだろう?」と思うかもしれません。
ですが、「どの資格が一番いいのか」で考える必要はありません。
大切なのは、自分が福祉のどの部分に関心を持っているのかを考えることです。
日々の暮らしに近いところで直接支援に携わりたい。
生活上の困りごとを整理し、制度や社会資源を活用しながら支援したい。
精神保健福祉について専門的に学び、その視点から生活を支えたい。
実際の仕事内容を調べたり、福祉現場で働く人の話を聞いたりすることで、自分が目指したい方向が少しずつ見えてくるはずです。
また、3つの資格はそれぞれ資格取得までのルートや受験資格が異なります。
資格を目指す場合は、学校や講座の情報だけで判断せず、厚生労働省や試験実施機関などの公式情報で最新の受験資格や取得ルートを確認することをおすすめします。
資格は「ゴール」ではなく、支援の視点を増やすもの
資格を取得すること自体が、福祉職としてのゴールではありません。
資格取得のために勉強していると、
「こんな制度があるのか」
「こういう考え方もあるのか」
「別の専門職は、こんな視点から支援を考えるのか」
と、それまで自分にはなかった考え方に出会うことがあります。
私自身、福祉の現場で働きながら学びを重ねてきたなかで、一つの視点だけで人を理解することの難しさを感じてきました。
同じ状況でも、見る角度が変われば、支援の選択肢が増えることがあります。
だからこそ、資格の勉強で得た知識を「試験に合格するための知識」だけで終わらせず、目の前の人を理解するための新しい視点として現場に持ち帰ることが大切なのだと思います。
まとめ|三福祉士から福祉の広さを知る
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士は、それぞれ異なる専門性を持つ国家資格です。
介護福祉士には、日々の暮らしを支える視点。
社会福祉士には、生活上の課題や制度、社会とのつながりから支える視点。
精神保健福祉士には、精神保健福祉の専門性から、その人の生活全体を考える視点があります。
それぞれの専門性を知ることは、資格選びだけでなく、福祉にはさまざまな支え方があることを知るきっかけにもなります。
知識を増やすことで、支援を見る角度も増えていく。
そして、その視点を現場で生かしていく。
