はじめに

こんにちは、ナックです。

福祉の現場で働いていると、「住まい」が支援の大きなテーマになることがあります。

なかなか物件が見つからない。

保証人や緊急連絡先の問題がある。

家賃の負担が大きい。

退院や施設退所後の住まいをどうするか。

本人が地域で暮らし続けたいと思っていても、住まいの問題によって選択肢が狭くなってしまうことがあります。

社会福祉士は、制度や社会資源を活用しながら、こうした生活上の課題を一緒に考えていく専門職です。

では、そこに不動産の知識が加わったらどうでしょうか。

私は、「福祉」と「不動産」は一見違う分野に見えて、実はかなり深くつながっていると思っています。

この記事では、社会福祉士が宅地建物取引士(宅建士)について学ぶことで得られるメリットを、「住まいの支援」「他分野を知ること」「キャリア」という3つの視点から考えてみます。

1.住まいの支援を考える視点が増える

一つ目のメリットは、住まいに関する知識を増やせることです。

福祉の仕事では、本人の生活を考えるうえで住まいを切り離せない場面があります。

たとえば、高齢者や障害のある人、生活に困窮している人などが、新しい住まいを探すことがあります。

そのときには、

「どのような物件を探せばいいのか」

「賃貸借契約にはどのような内容が書かれているのか」

「初期費用にはどのようなものがあるのか」

「契約から入居まで、どのように進んでいくのか」

など、不動産に関する知識が役立つことがあります。

宅建の勉強では、宅地建物取引業法だけでなく、権利関係や法令上の制限、税など、不動産に関する幅広い内容を学びます。

もちろん、宅建士の資格を取得したからといって、社会福祉士としてあらゆる不動産相談や法律相談に対応できるようになるわけではありません。

必要に応じて、不動産事業者や行政、法律の専門家などにつなぐことも大切です。

それでも、不動産の基本的な仕組みを知っていれば、

「ここは不動産会社に確認したほうがいい」

「この問題は別の専門職につないだほうがいい」

と判断するための視点が増えます。

すべてを自分で解決するためではなく、必要な支援につなげるために知識を持つ。

これも社会福祉士にとって大切な学びだと思います。

2.「福祉の外側」を知ることで支援の幅が広がる

二つ目は、福祉とは異なる分野の考え方を学べることです。

福祉の仕事を長く続けていると、どうしても福祉制度や福祉サービスを中心に物事を考えるようになります。

しかし、実際の暮らしは福祉制度だけで成り立っているわけではありません。

住まいであれば、不動産会社、家主、管理会社、保証会社、行政、地域の支援機関など、さまざまな人や組織が関わります。

福祉側から見ると、

「本人には住まいが必要だ」

という場面でも、不動産側には契約や物件管理など別の視点があります。

どちらか一方だけを理解していても、うまくいかないことがあります。

だからこそ、福祉職が不動産について学ぶことには意味があります。

相手の立場や仕組みを少し理解できれば、

「福祉ではこう考える。不動産ではこう考える。では、その間をどうつなげようか」

と考えられるようになるからです。

これは宅建に限った話ではありません。

医療、教育、司法、労働、住宅など、福祉とは違う分野について学ぶことで、目の前の人を見る角度も増えていきます。

宅建の勉強は、その一つの入り口になると思います。

3.「福祉×住まい」というキャリアを考えるきっかけになる

三つ目は、自分自身のキャリアを違う角度から考えられることです。

社会福祉士の活躍する場所は、福祉施設や行政、医療機関だけではありません。

住まいに関する支援でも、福祉の専門性が求められる場面があります。

たとえば、住宅確保に配慮が必要な人への居住支援など、福祉と住宅の両方に関係する取り組みがあります。

こうした分野に関心がある人にとって、不動産について学ぶことは、自分の専門性を考えるきっかけになるでしょう。

また、将来的に福祉事業の運営などに関わる場合にも、物件や契約について基本的な知識があることは、判断材料の一つになります。

ただし、

「宅建を取れば必ず転職に有利になる」

「宅建があれば不動産の副業ができる」

と単純に考えるのはおすすめしません。

実際に宅建士として行う業務には、資格だけでなく勤務先や宅建士としての登録などが関係します。また、職場によって資格の評価も異なります。

大切なのは資格の数を増やすことではなく、

「自分は福祉のどんな課題に関わっていきたいのか」

を考えることです。

その答えの一つが「住まい」なのであれば、宅建の勉強は面白い選択肢になると思います。

宅建士にならなくても、学ぶ意味はある

ここは、私がこの記事で一番伝えたいところです。

宅建を勉強する目的は、必ずしも宅建士として働くことだけではありません。

資格試験の勉強を通して、

「賃貸借契約ってこういう仕組みなのか」

「不動産にはこういうルールがあるのか」

「福祉とは違う視点から見ると、住まいはこう見えるのか」

と知ることにも意味があります。

社会福祉士として働いていると、自分の専門分野を深く学ぶことはもちろん大切です。

一方で、ときには専門分野の外に出てみる。

すると、それまで当たり前だと思っていた支援を、違う角度から考えられることがあります。

資格を増やすことより、視点を増やすこと。

宅建を学ぶ価値は、そこにもあるのではないでしょうか。

宅建を目指すなら最新の試験情報を確認する

宅建士資格試験は、不動産適正取引推進機構が実施しています。

試験制度や日程などは変更される可能性があるため、受験を考えている場合は、その年の公式情報を確認してください。

また、「何か月勉強すれば合格できる」「○時間勉強すれば大丈夫」と一律に言うこともできません。

仕事をしながら勉強する人もいれば、法律を初めて学ぶ人もいます。

自分の生活やこれまでの知識に合わせて、無理なく続けられる学習計画を立てることが大切です。

まとめ|「福祉×住まい」から支援の視点を増やす

社会福祉士が宅建について学ぶメリットを3つ紹介しました。

  1. 住まいの支援を考える視点が増える
  2. 福祉とは違う分野を知ることで、支援の幅が広がる
  3. 「福祉×住まい」というキャリアを考えるきっかけになる

宅建を取得したからといって、突然できる支援が大きく増えるわけではありません。

それでも、不動産という福祉とは違う分野を学ぶことで、これまで見えていなかったものが見えてくることがあります。

住まいは、人が生活していくための大切な基盤です。

だからこそ、福祉職が住まいについて学ぶことには意味があると思います。

福祉だけを見るのではなく、その人の暮らしを見る。

そして、そのために自分の視点を少しずつ増やしていく。

NACK CARE WORKSでは、そんな「学ぶ」を大切にしていきます。